トンガ人と中国人と欧州人

はじめてトンガを訪問した。
空港に着いたのは夕方の7時過ぎ、ホテルのある首都ヌクアロファまで、約30分の道のり。その間、一本道をのろのろと車で移動したのだが、非常に目についたのが、コンビニのような小さなお店。500mごとくらいにある。すべての店に鉄格子がついていて、その奥にある商品を指さして買うような仕組みのようだ。
そして驚くのは、そのほとんどの店員が中国人ということだ。
ホテルについてから現地事務所のスタッフと食事をして、知ったのだが、トンガという国は、人口が約12万人いるのだが、そこになんと中国人が2,000人いるとのこと。
人口の約2%を中国人が占めている。
そしてその中国人に対して、トンガから富を奪っているといった反発は強く、一時は中国人住居や店舗の焼き討ちなどの暴動にも発展したとのことである。どうりですべての店に鉄格子がついているわけだ。

ここまで読むと、人の国で勝手に商売して、中国人はひどいやつだ、と思うかもしれない。
ただ、そうとも言えないとも感じた。
空港からホテルの道のりでも8時となるとほとんどの店はやっていない。
そんな中でやっているのは中国人のその小売店、中国系のレストラン、などである。

つまり、中国人は明らかにトンガ人より働いている。なので必然的にお金を多く稼いでいる。
トンガ人は夜や日曜は全く働かないようだが、これでは中国人に勝てるわけがない。
その中国人が儲けたのを非難するというのはちょっと八つ当たりのような感じもしてしまう。

ただ、そもそものところで、このような小さな島国には文明(特に資本主義)は似合わない、というのが正直な感想である。車・インターネット・物資すべてが大きい国よりお金がかかり、人口も少なく産業もないため、外国に経済力で勝てるはずがない。最初から負け戦なのである。おそらくヨーロッパ人は文明を持ち込むことによって、自分たちに依存しなければならない環境を意図的に作ったのではないだろうか。

それに関する印象的な話があった。

昔トンガは、主に魚を釣って自給自足で暮らしており、肉を食べる文化はなかった。そこにニュージーランド人(イギリス人)が牛肉を持ってきた。無料で牛肉を贈与していたため、少しずつトンガ人の中にも魚より肉が好きになる人が増えてきた。そうなってから、ニュージーランドは牛肉を有料化してしまった。 魚を採ることをやめてしまったトンガ人は、ニュージーランドから牛肉を買うために、外国と貿易をせざるを得なくなり、最終的には国の支配まで外国の下におかれることになってしまうのである。

魚を食べて幸せに暮らしていた南太平洋の人たちに、文明という勝ち目のない武器を持ち込んだヨーロッパ人の罪ははかりしれない。

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